Outline : Department of Film Production

撮影風景

撮影照明領域 Cinematography Course

「ツール」を使って
「想像力」を表現する

柳島 克己 教授

映画における撮影者は、カメラを使って撮影することではあるが、単純にそれだけの行為ではない。

監督がイメージする映像を具体化する為に、ロケハンから最終的な上映プリントの色彩調整まで様々な作業に関わり、トータル的には映像技術全般の責任者である。

ただここ数年、撮影技術全般に渡るデジタル化の流れに伴い劇的な変化をし続け、映像化の形態が複雑になってきているのが現状である。

撮影機材をみても様々なデジタル・カメラが開発され、フィルムカメラとストレスがない程のクオリティを持ってきている。更に上映方法もデジタル化と共に、3D映画なども加わり映像全般に渡りテクノロジーは変化し続けている。

しかし、どの様に映画製作がテクノロジーで変わろうと、それらの殆どは映像表現をする為のツールであって、ベーシックな部分は不変である。

撮影者に求められるのはテクニックだけでは無く、肝心なのは作品に関わる多くの人と共有する中から生まれる、作品や作家の狙いを理解する想像力であり自由な表現力であると思います。

美術領域 Art Directing Course

画に映る生身の人間以外の物に
責任を持つ

磯見 俊裕 教授

映画における美術とは,「画に映る生身の人間以外の物に責任を持つこと」が仕事です。シナリオに合った街を探し,足りない所があれば足し,無ければ造る。

例えば「ある喫茶店に男女がいるとする。窓の外を見つめる女の前には少しだけ減ったミルクティー。ミルクの膜が浮かぶカップの縁には淡い赤色。水のカップを掲げウエイトレスを呼ぶ男の前には飲み干されたアイスコーヒーのグラス。水滴がコースターに溜まっている。吸い殻が7本折れ曲がり灰皿に並ぶ。テーブルに少し灰が溢れている」。

これらテーブルの灰,水滴,カップ,口紅の痕といった細かい物から,路や家並みなど「画に映る人間以外の全ての具体物」を準備し,「芝居の場を創る」のが美術の仕事です。

実際には,美術のプランを考え,図や絵にして監督や撮影,照明等の各部と打ち合わせてプランを練る者。家や壁,町並みなどを建てる者。街の看板,街灯,表札,窓のカーテン,家具,小物を用意し飾る者。役者の手に持つ鞄,靴,アクセサリー,書類等担当する者等,それぞれの分野に分かれます。

本領域では,美術の仕事の全てを,課題作品の制作を重ねて実践することで,様々なシナリオや演出の求める場を「考え,具体化する力」を身に沁み込ませる事を目指します。 映画は,監督だけで創られる物でもなく,カメラマンが創る物でもない。ましてや美術でもない。スタッフ,キャストのみならず,世の中との様々な連関により生み出されるものと考えています。そのことを知ろうとする人なら,経験の有無を問わず,美術領域に臨んでほしい。

サウンドデザイン領域 Sound Design Course

「映像にとって音とは何か?」
という問いかけを

長嶌 寛幸 准教授

映画の音響も他の領域と同じく、テクノロジーの驚異的な進化の影響を受けています。具体的には、フィルムを使ったアナログ上映方式からデジタル上映方式への移行が一番に挙げられます。映画のデジタル化によって、映画音響の完成までの行程も大きく変わりつつあります。この変化によって、 「今まで培ってきたノウハウが一瞬にして無効になる」といった事態が起こり始めています。このかつてない大きな変革期に、映画の音響に携わる、あるいは携わりたいと思う者に何よりも必要な事は、実は「映像にとって音とは何か?」という始原的な「問いかけ」をもう一度自分にしてみる事ではないか、と私は考えます。

「映像」と出会って「音」は抱擁(あるいは包容)するのか? 隷属するのか? 支配するのか? あたかも相手がいないかのように無関心に振る舞うのか? この「問いかけ」から生まれる「思想」こそが、テクノロジーの進化に対応できる最大の「力」だと私は確信しています。

サウンドデザイン領域では映画完成までの技術的なプロセスを体験し、学ぶと共に、「思想」を語りあい、それを「具体」として「作品」に反映していければ、と思っています。

編集領域 Editing Course

映像と音の無限の組み合わせから
世界を構築する

筒井 武文 教授

編集は,映画を構成する重要かつ決定的なポジションです。といっても脚本や撮影のように,何もないところから生み出していくわけではありません。素材があり,まずそれを読み込むことから始まります。素材の可能性を汲みつくし,それをどう構成するかを探っていくわけです。自分が監督を兼ねる場合はそれだけでいいのですが,別に監督がいる場合は,監督の狙いと作品を受け取る観客の立場を両方理解する必要があります。そして監督の思いもよらなかった創造的な編集を行う力が求められます。映画の大きなテーマを充分把握したうえで,1コマ,2コマのつなぎにこだわらねばなりません。つまり大胆かつ細心であることが求められるのです。

編集領域では,プロとしてやっていきたい人だけでなく,編集を通じて映画の探求を試みたい人を求めています。何より必要なことは,編集が好きであることです。技術は後からついてきます。ただ何度でもやり直すという粘り強さが必要です。

現在はデジタル化という映画制作の過渡期にあたっています。基本的にひとりで手軽にできるというデジタルビデオの世界は,編集技術の習得には,あまり向いていません。カットを並べただけで完成したような錯覚が起きがちなのです。繰り返し素材を見返しながら,映画のリズムを探っていき,決定的なカッティング・ポイントを見つけねばなりません。フィルムだと得られる,どのコマとどのコマをつなぐのか,ということをデジタル編集でも意識的に行わねばなりません。ですから,最初にフィルム編集を経験することは,重要なことなのです。映画専攻での2年間で,16mmによるフィルム編集から,ノンリニアによるワーク編集,エクスプリを使用したHDの本編集と,現在使われているメディアに対応する編集術を身につけてもらいます。

編集とは,映像と音の無限の組み合わせのなかから,決定的な映画のフォルムを作り出し,映画内の世界を構築する作業です。どうすれば,時間が自然に流れるか,あるいは流れを断ち切って緊張感をもたらすか。これを作品ごとに発見していかなければなりません。作品が違えば,同じ方法論や技術は通用しないのです。だからこそ,編集は面白いし,映画の道は奥深いのだと思います。