ポケットフィルム・フェスティバルは、「実用的なハイテクおもちゃ」が潜在的に持っている映像表現の可能性を探求し、多様なメディアを介して、感性を刺激するコミュニケーションのあり方を築くことを目指しています。実際、それはアーティストにとっても自明ではありません。フランスの若手映画作家ジャン=シャルル・フィトゥスィは昨年、東京藝術大学大学院映像研究科のレクチャーで、古典的な映画作りから携帯ムービーに興味を抱き、1時間を超える長編を撮り上げるに至った動機を次のように語りました。「ある日、ドライヴしていると、平原を横断する雲の群れの影に気づいて、どうしてもそれを撮りたいと思った。でも、あいにくカメラを持っていなかった。全速力で機材を取りに帰っても、同じ光景は撮れない。携帯電話なら、いつでも持っているから、撮りたいと思った瞬間を逃すことはないのだ」。常に持ち歩けるカメラがもたらす、はかり知れない自由と創造的可能性をいかに活用できるのか?本映画祭はそれを問う場でもあります。
日本初の試みとなるこのフェスティバルは、東京藝術大学と2005年から「Pocket Films Festival」を主催している他、年間計千本に及ぶ特集上映会等、多彩な映像イベントを行っているパリの「フォーラム・ド・イマージュ(Forum des images)」の提携の下、開催されます。携帯の映像を映画作品としてスクリーンに投影するという、映画の都パリのエスプリと映画祭の形式を継承すると同時に、日本独自の企画も展開してゆきます。